移住するとき、費用面が大きな不安材料になりますよね。
でも、実は国や自治体から様々な補助金が出ています。
この記事では、移住する人が補助金を確実に受け取れるよう、わかりやすく解説していきます。
移住する前に知っておきたい補助金の種類
移住する前に知っておきたい主な補助金の種類は以下のとおりです。
国の補助金制度
国は、東京に人が集中しすぎている問題を解決し、地方の活性化を図ることを目指しています。
そのため、東京から地方へ移住する人や、移住先で新しく事業を始める人に対して、一定額のお金を支給する制度を作りました。
移住する人向けの支援金と、起業する人向けの支援金を合わせると、最大で300万円の支援を受けられるようになっています。
移住支援金制度
- 対象者: 東京圏から地方へ移住する方
- 支給額: 単身で最大260万円、世帯で最大300万円。18歳未満の子供を帯同して移住した場合は、1人につき最大30万円が加算
- 申請方法: 移住先の自治体に申請
起業支援金制度
- 対象者: 移住先で新規事業を立ち上げる方、事業を継承する方
- 支給額: 移住支援金と合わせて最大300万円(単身260万円)
- 申請方法: 移住先の自治体に申請
国の支援内容は家族構成や仕事の内容、申請方法などかなり細かいので、詳細は内閣官房・内閣府総合サイト「地方創生」を確認することをおすすめします。
地方自治体の補助金制度
地方自治体が独自に行っている主な補助金制度は以下のとおりです。
住宅支援・補助金
茨城県境町の「移住者向け定住促進住宅」
- 町外から移住してきた子育て世帯に対し、20年間無償で新築賃貸住宅に居住可能
- 期間満了後は土地と建物が無償で譲渡
福島県会津若松市の「移住者住宅取得支援事業」
- 移住者向けに新築住宅の購入費用の一部を最大100万円補助
長野県の「移住者住宅取得支援事業」
- 県外から移住し、新築住宅を取得した場合に最大100万円を補助
一関市の「移住者住宅取得補助金」
- 転入者の住宅取得に対して最大100万円を補助
- 中学生以下の子どもがいれば5万円を追加で補助
佐野市の「3世代同居・近居推進事業」
- 子育て世帯の同居・近居を支援
このように、地方自治体は移住者の住宅取得を支援するために、新築住宅の購入費用補助や賃貸住宅の無償提供など、様々な制度を設けています。
就労に関する補助金
移住をする際、地方自治体が独自に行っている就労に関する補助金制度の例は以下の通りです。
山梨県の起業支援
- 山梨県では、移住者の起業時の融資額が最大3,000万円
佐賀県の「さがジョブナビ」
- 佐賀県では、「さがジョブナビ」に掲載の企業の求人に就業した移住者を対象に、移住支援金を支給
鹿児島県の移住支援金
- 鹿児島県では、東京圏から移住し、移住支援金の就業要件を満たす就業をした方に最大100万円を支給
- 18歳未満の子供のいる世帯は子供1人につき最大100万円が追加
熊本県の移住支援事業
- 熊本県では、県と各市町村が共同で、移住・定住の促進及び中小企業等における人手不足の解消を目的とした移住支援事業を実施
- 支給額は最大100万円で、18歳未満の子供のいる世帯は子供1人につき最大100万円が追加
上天草市の船員支援
- 熊本県上天草市では、船員を目指す方に対して祝い金10万円のほか、講習費補助・家賃補助がある制度を用意
このように、地方自治体は移住者の就労を支援するために、起業支援や就職支援など、様々な制度を設けています。
特に、東京圏からの移住者を対象とした移住支援金制度は多くの自治体で実施されており、就業要件を満たせば最大100万円程度が支給されます。
また、特定の職種に絞った支援もあり、上天草市の船員支援のように、講習費用や家賃の補助を行う自治体もあります。
移住を検討する際は、国の制度と合わせて、移住先の自治体の独自支援制度も確認することが重要です。
自治体によって支援内容は異なるので、事前に公式サイトなどで詳細を確認しておきましょう。
出産・結婚祝い金
- 出産時に一時金を支給する自治体が多数
- 結婚祝い金を支給する自治体も
医療費・教育費補助
- 子供の医療費を全額補助する自治体あり
- 教育費の一部を補助する自治体も
お試し移住サポート
移住前に一時的に移住体験できる制度です。
たとえば、以下のような取り組みをしている自治体があります。
奈良県奈良市
- 移住検討者向けに民間の宿泊施設を利用した短期滞在を支援
- 最大7泊分の宿泊費の一部を補助
兵庫県朝来市・丹波篠山市
- 1か月から数か月程度の期間、実際に空き家などに滞在できる制度がある
- 生活環境や通勤・通学の状況などを実際に体験できる
長野県上田市
- 移住前に一時的に移住体験できる制度を設けている
- 最大1年間、家賃の一部を補助
三重県三好市
- 移住検討者向けに最長1年間の長期滞在ができる「お試し住宅」を用意
- 家賃の一部が補助されるので、ゆっくりと移住先の生活を体験可能
このように、移住を検討する際に実際に移住先の地域で生活を体験できるよう、自治体独自のお試し移住制度を設けているところが多数あります。
滞在期間は短期から長期まで様々で、家賃補助や宿泊費補助などの形で支援が行われています。
移住を具体的に検討する前に、ぜひ利用してみることをおすすめします。
移住相談会
移住を検討している人向けに、移住先の自治体が開催する無料の相談会があります。
移住に関する様々な疑問や不安に対して、専門のスタッフがアドバイスをしてくれます。
たとえば、以下のようなものがあります。
宮崎県の移住相談会
宮崎県では、県外から移住する人向けに「移住ナビゲーター」による個別相談会を開催しています。
移住の手続きから生活環境、就職情報までを詳しく教えてくれます。
高松市の移住相談会
高松市では、首都圏で「首都圏交流会」と称した移住相談会を開催しています。
移住に関する様々な情報を得られるほか、具体的な相談にも対応してくれます。
八戸市の移住相談会
八戸市では、周辺7町村と連携して移住イベントを開催しています。
移住に関する情報発信や、帰省時期を狙ったPRなども行っています。
静岡県の移住相談窓口
静岡県では、東京の有楽町に移住相談窓口を設置し、専門スタッフが移住相談に対応しています。
地方自治体によって様々な移住支援制度が用意されており、出産・子育て世帯向けの支援が手厚い傾向にあります。
移住を検討する際は、国と自治体の両方の支援制度を確認することが重要です。
補助金を確実に受け取るための準備
補助金を確実に受け取るための準備として、以下の3点が重要です。
補助金の対象者条件を確認する
補助金の対象者条件を確認することは、補助金を確実に受け取るための重要な準備作業の一つです。
各補助金には受給要件が設定されているため、自分が要件を満たしているかどうかを事前に確認する必要があります。
例えば、国の移住支援金制度では、以下の条件を満たす必要があります。
【移住支援金の対象者条件】
・東京圏(東京都、埼玉県、千葉県、神奈川県)に居住している者
・東京圏以外の地域に移住・転入する者
・移住先で就業する予定の者
つまり、東京圏在住で地方への移住を検討している就労予定者が対象となり、単なる東京圏内の住所移転や無職の場合は対象外となります。
また、ものづくり補助金の場合は以下のような条件があります。
【ものづくり補助金の対象者条件】
・日本国内に本社及び主たる事業所を有する中小企業者
・業種が対象となる製造業その他の業種に属する者
・一定の従業員数、資本金基準を満たす者
このように、補助金によって対象者条件は様々です。
申請前に公募要領などで条件を必ず確認し、自分が対象に当てはまるかどうかをチェックすることが大切になります。
条件を満たさない場合は、別の補助金を探すか、条件を満たすよう事業計画を見直してみましょう。
必要書類を事前に準備する
移住者が補助金を確実に受け取るためには、申請時に必要な書類を事前に準備しておくことが重要です。
必要書類の具体例を挙げると、以下のようなものがあります。
- 移住支援金交付申請書
- 住民票の写し
- 在職証明書
- 源泉徴収票の写し
- 健康保険証の写し
- 印鑑証明書 など
書類の準備に時間がかかる場合もあるので、早めに手配しておきましょう。
申請期限に注意する
補助金によっては、申請受付期間が決まっている場合があります。
期限を過ぎると次の機会まで待たなければならないので、期限は必ず確認しておきましょう。
事前の準備を怠ると、補助金を受け取れなくなる可能性があります。
対象条件、必要書類、申請期限をしっかりチェックして、確実に補助金が受け取れるよう万全の体制を整えましょう。
補助金の上手な活用方法
補助金を上手に活用するためのポイントは以下のようにまとめられます。
移住費用の見積もり
移住には引っ越し費用をはじめ、様々な費用がかかります。引っ越し見積もりサイトを活用して、引っ越し業者の見積もりを比較検討しましょう。
補助金と合わせて、移住にかかる総費用を事前に計算しておくことで、準備を万全にできます。
生活費の計画
移住先での生活費を試算し、補助金でどの程度の期間を賄えるか確認しましょう。
生活費には家賃や光熱費、食費などが含まれます。余裕があれば一部を貯金に回すことをおすすめします。
起業資金の準備
移住先で起業を視野に入れている場合は、起業に必要な資金を補助金から確保しましょう。
国の起業支援金制度を活用すれば、移住支援金と合わせて最大300万円(単身の場合は260万円)の支援が受けられます。
事業計画を立てる際は、自治体の担当窓口に相談するのが賢明です。補助金は一時金なので、計画的に使わないと行き詰ってしまう可能性があります。
事前の見積もりと計画を立てて、移住後も安心して暮らせるよう備えましょう。
補助金以外にも役立つ支援制度
移住支援金や起業支援金以外にも、移住を検討する際に役立つ様々な支援制度があります。
引っ越し費用の補助
引っ越し費用は移住にかかる大きな出費の一つです。一部の自治体では、引っ越し費用の一部を補助する制度を設けています。
・長野県伊那市の「定住助成金」
県外から転入する世帯に対し、最大10万円を上限に引っ越し費用を助成
・大分県臼杵市の「移住支援補助金」
U・I・Jターンを行う人向けの支援として、引っ越し費用に対して20万円を上限に補助
・国の「地方創生移住支援事業」
東京23区在住または通勤者が東京圏外へ移住する際、移住支援金として単身60万円以内、世帯100万円以内を支給。引っ越し費用も支援金の使途に含まれる
引っ越し費用は移住にかかる大きな出費の一つですが、これらの支援制度を活用することで、スムーズな地方移住が可能になるでしょう。
住宅取得支援
移住先で新しく住宅を取得する場合、自治体による住宅取得支援制度を利用できる場合があります。
例えば、茨城県の境町では、町外から移住してきた子育て世帯に対し、20年間無償で新築賃貸住宅に居住できる制度があり、期間満了後は土地と建物が無償で譲渡されます。
また、福島県の会津若松市では、移住者向けに新築住宅の購入費用の一部を補助する制度があります。
就職支援
地方への移住を促進するため、一部の自治体では就職支援サービスを提供しています。
例えば、宮崎県では県外から移住してきた方に対し、ハローワークでの就職支援はもちろん、UIJターン就職サポートセンターでの個別相談や企業説明会の開催など、きめ細かい就職支援を行っています。
また、長野県では、移住者向けの合同企業説明会を開催しているほか、移住者の職場実習の費用の一部を補助する制度もあります。
移住を検討する際は、補助金制度だけでなく、上記のような支援制度も積極的に活用することをおすすめします。費用面でも生活面でも、移住をスムーズに行えるよう備えましょう。
移住に関する相談窓口
移住に関する相談窓口については、主に以下の3つがあげられます。
国や自治体の移住相談窓口
国や各自治体には、移住に関する専門の相談窓口が設置されています。
移住の手続きや支援制度について、わからないことがあれば気軽に相談できます。
専門家に相談できるサービス
移住に関する専門家に直接相談できるサービスも存在します。
例えば、「ふるさと回帰支援センター」では、移住の計画立案から移住後の生活設計まで、移住に関するあらゆる相談に乗ってくれます。
移住は一筋縄ではいかない難しい課題が多くあります。わからないことがあれば、遠慮なく上記の相談窓口を活用しましょう。
まとめ
移住する際の補助金は、費用面での大きな助けになります。この記事を参考に、自分に合った補助金を見つけて、確実に受け取れるよう準備を万全にしましょう。
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